黒ラブのダルタニアン君

結婚して6年目に親たちが子供は作らないのかと言い出して、そうかーなんて思いながら、いや作らないのではなくて今まで授かっていないということに気がつきました。

当時私も働いていたし、夫の出張と私の出張で、妊娠しやすい時期に一緒に過ごしているかどうか調べてみると、あまり一緒にいないという事実が判明。夫は7つ年上ということもあり、「仕事辞めちゃえば」と子作りのために何故か退職。当時駐在員だったので、仕事と子供のいない駐在員の奥さんは少数派。

仕事辞めて、排卵期にすることすれば妊娠できると思っていたので、最初の数ヶ月は妊娠できていないことがとてもショックでした。そして不妊治療。こればかりは本当に苦痛でした。そこで、「犬を飼えば精神的に良いかも」ということで黒ラブを飼おうと決めたのでした。

電話で調べていたら、「来週の土曜日にシドニーから黒ラブが来ます」と言われ運命を感じてすぐ購入してしまいました。

可愛いんだけれど本当に大変。まず、我が家に着いた初日。私たちの寝室で寝たいらしく、入れるまでドアの向こうで吠え続け、夜中の3時ごろ根負け。以降ずっと私たちの寝室に彼も加わって眠ることに。そして、パピートレーニング。どうしてこんなに大変なのか、嫌がらせなのかと思うほど大変でした。夫も私もクタクタ。犬を飼い始めて最初の不妊治療の診察で、「昨日は排卵日でしたが、きちんとアクションを取りましたか?」と聞かれたのでしたが、私も夫も犬のトレーニングで疲れ切っていてそんなこと、思いもしなかったのでした。病院からの帰途、車の中で不妊治療やめよう!と2人で決めたのを覚えています。

犬が家族に加わって、それまで世界は妊婦さんと赤ちゃんだらけに見えていたのに、犬ばかり目に入るようになりました。

犬を飼うとなるとまずは名前。日本で犬の名前って言うと「ぽち」なのよと言ったら、猛反対されました。で、「オランダではBORISボーリスだ。」と言うのです。日本人の私にRのつく名前は無理と言って大好きな小説三銃士からダルタニアンに。

ダルタニアンは実際に実在したモデルがいてその名前もまさにダルタニアンです。佐藤賢一氏がダルタニアンの生涯という本を岩波新書で書かれています。ぜひ読まれてみては?https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B6%AF%E2%80%95%E5%8F%B2%E5%AE%9F%E3%81%AE%E3%80%8E%E4%B8%89%E9%8A%83%E5%A3%AB%E3%80%8F-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E8%B3%A2%E4%B8%80/dp/4004307716

三銃士は本当に良い小説で今でも一気に読めてしまう面白さです。ちなみに作者デュマの子供が書いた作品に椿姫、ラトラヴィアータがあります。

一度、少し畏まったイヴニングドレスを着るようなレセプションでお話ししていたらとても感じの良い紳士がいらして、お互いの名前(ファーストネーム)を言うことになりました。すると彼の名前がボーリスだったのです。ほろ酔いの勢いで「あら、それって犬の名前ですよね?」と大変失礼な返答。傍にいた夫は顔面蒼白でした。笑

面白かった思い出としては駐在員で、若くて子供もおらず、70人ほどを家に招くパーティーをした際、ダルちゃんは一番セクシーでスカートの短い元XX国の大使の女性の傍に一晩中寄り添っていました。他の女性には見向きもせず。女性陣からは「女性であることを無視されたみたいで感じ悪いわね」と半分本音で文句、男性陣からは「素直な犬ですね、家庭の方針ですか?」とか言われたのを覚えています。パーティーの後片付けは家中とお庭に飲みかけのワインやビールが散在していたのでダルちゃんの食器を使って片付けていたら、なんとその飲み残しのごちゃごちゃに混ざった悪魔の飲み物をダルちゃんは飲んでしまったらしく、酔っ払ってしまいました。寝室に行くために階段を登りたいのですが人間の酔っ払いみたいにバランスが取れず、階段の途中で下まで落っこちてしまっているのです。猛反以上に心が痛み、寝室に抱いて連れていったのですがその後私たちが眠れないほどの大いびきでした。

ダルちゃん懐かしいです、17歳で大往生でした。